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モニター商法に関する被害例
先日、主婦Y宅にA社からチラシが入っていました。そのチラシには『月4万円の収入は確実!浄水器のモニターになって、毎月簡単なレポートを提出するだけでOK!』と書かれていました。Yはちょうど最近、アルバイトをしたいと思っていましたが、まだ子供が小さいため諦めていました。しかしこれならできるかなと思い、申込むことにしました。
実際に、A社と契約してみるとモニターになるためには始めに自分がA社から20万円の浄水器を買わなければいけませんでした。しかし、A社の説明では『クレジットで買えば月々の支払もモニター料から出せるので家計の負担にはならない』とのことでした。
最初の2ヶ月は、きちんとモニター料が支払われましたが3ヶ月目から支払がストップしてしまいました。そこで、YはA社に電話をしてみると『事務手続きのミスで支払が遅れてしまい申し訳ありません。モニター料はすぐにお支払いたします。』と言われました。しかし、その後1ヶ月経ってもモニター料が支払われません。Yは、A社との契約をやめたいのですが可能でしょうが?
対処法
これは、典型的な
モニター商法
です。この商法は商品のレポートなどを提出すれば毎月モニター料が支払われるというものです。特定商取引法では業務提供誘引販売取引として規制しています。業務提供誘引販売取引とは
1
『
業務提供利益
』を収受し得ることをもって顧客を誘引し
2
『
特定負担
』を伴う
3
商品の販売・あっせん又は役務の提供・あっせんにかかる取引で
4
無店舗・個人
である場合
をいいます。訪問販売のような
指定商品制
による制限はなく、また契約の締結場所も営業所の内外を問いません。広告についても重要事項の表示が義務付けられ特定負担・業務提供利益について著しい誤認表示が禁止されています。
今回のケースの場合、A社はYに月4万円を支払う(@に該当)代わりに毎月レポートを提出(Bに該当)させて、なおかつ浄水器(そのAに該当)を買わせていますので、上記3つ全てに該当します。同法では法定契約書面の受領日から
20日以内
であればクーリングオフができます。
今回の場合、契約から4ヶ月以上経過しているのでクーリングオフは難しいと思いますが、契約書も法律で決まっている全ての事項が記載された契約書を受領することが前提ですので諦めないようにしましょう。
また、クーリングオフができない場合でも今回の場合、A社が始めからモニター料を支払う気がなかったとすれば、Yに対して虚偽の説明をしたことになりますので消費者契約法4条2項1号の
不実告知
に該当しますので、YはA社の嘘に気づいてから
6ヶ月以内
であれば契約を取り消すことができます。さらに、民法上の
詐欺・公序良俗違反
を理由に契約の取消し・無効を主張できるでしょう。
また、A社が本当に経営難などからモニター料を支払うことができないのであれば、Yは民法上の
債務不履行
により契約を解除できます。いずれにせよ速やかに内容証明による解約手続を行うのがよいでしょう。
ここで、注意を要するのは今回のようにクレジットで代金を支払っている場合、YがA社との契約の取消しを信販会社に主張するためには以下の割賦販売法の要件を満たす必要があります。
1
2月以上にわたり3回以上の分割払いのクレジット契約であること
2
割賦販売法の政令で指定している商品、役務(サービス)、権利(会員権など)に関する取引であること
3
無店舗・個人であること
この要件に該当しない場合には、最悪の場合は救済されない場合もあるので、先に商品を買わせたりする業者とはくれぐれも慎重に契約するようにしましょう。
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内職商法に関する被害例
ある日専業主婦であるYの自宅に、A社から電話があり、『パソコンを使って簡単な文章入力の仕事をしませんか?月平均5〜6万の収入は確実ですよ。』と勧誘されました。Yはちょうど息子が塾に通い始めたため、その授業料を稼ぐために仕事を探し始めていたので、その話に興味を抱き、さらに話を聞きました。すると『登録料としてまず3万円を払ってもらいます。それから、当社指定のパソコンと教材を購入して検定試験を受けていただきます。試験に合格しましたら必ず仕事を回しますから。』と言われました。
Yは、パソコンと教材を合わせると約30万円となり非常に高額なのでやめようと思いましたが、A者担当者は、『月々の収入ですぐ支払えますから全然大丈夫ですよ。ここでやらなきゃ絶対損ですよ!』と言うので思い切って契約をしてしまいました。
その後、なんとか検定試験に合格して、最初の一度は仕事をもらいましたが、A社は仕上げた原稿にいちいち文句をつけてきたり、次の仕事をもらうのに一週間くらいかかったり、しかも苦労して仕上げた原稿も一つ3000円くらいにしかならず、とてもじゃないがこのペースでは月5〜6万円の収入は見込めません。
Yは、契約を解除して登録料の3万円とパソコンと教材費の30万円を返して欲しいと思っていますが可能でしょうか?
対処法
これは典型的な
内職商法
です。『パソコンを買えば、それを使った内職を紹介します。自宅で仕事ができ月収10万円は確実ですよ。』などと新聞の折込広告やDMで勧誘してパソコンを購入させておきながら実際はちっとも仕事を紹介しない、といった手口です。
最近はパソコン入力仕事を口実にするものやコンピューターの表計算ソフトやデータベースソフトのデータ処理の仕事や、インターネットのホームページ作成などインターネットに関連づけた仕事を口実にするものも増えています。『
SOHO
』(small office home officeの略)などといって、自宅での仕事がもてはやされている風潮がありますので、そこを狙った内職商法が台頭してきています。
今回のケースのように内職をするという契約とパソコンの売買契約とがセットになっている場合、この2つの契約を個別に考えなければいけないかが問題となります。この点については、A社の説明ではA社指定のパソコンと教材を購入して検定試験に合格することが前提となっており、パソコンと教材の購入はYにとって内職契約の重要な要素たる債務の一部としてA社側から課せられているといえ、両者を個別の契約であると切り離して考えることは全く実態に反するものと言わざるを得ません(最判平8.11.12)、といった判決がでています。。
A社の担当者は、『月5〜6万円の収入は確実ですから。』と将来における変動が不確実な事項につき断定的な判断を提供しているので消費者契約法4条1項2号の
断定的判断の提供
による取り消しが可能であると思われます。
また、そもそもA社担当者自身『月5〜6万円の収入』などないと認識していたにも関わらず、それがあるかのように述べていた場合は重要事項について事実と異なること告げた場合にあたるので同条1項1号の
不実告知
に該当するとして取消せるでしょう。いずれの場合でもYが嘘の説明に気づいてから
6ヶ月以内
であれば取消しはできます。
さらに、今回のケースは特定商取引法の業務提供誘引販売取引にも該当します。業務提供誘引販売取引とは、業務提供利益をもって勧誘し特定負担を行わせる取引であって『提供される業務を事業所等によらないで行う個人』に対し、業者は業務提供等の条件等を記載した書面を、契約締結前および契約締結直後に交付する義務を負い、契約締結後も法定契約書面の受領日から
20日間
はクーリングオフによる解除が認められます。営業所の内外を問わず適用され、また
政令指定商品制
の限定もありません。
また、クーリングオフが行使できない場合でも、同法施行後は、A社に契約書面交付義務が課され、契約内容が明確化しますので、契約条件の不履行を立証して
債務不履行解除
をすることが容易になるでしょう。いずれにせよ速やかに内容証明による解約手続を行うのがよいでしょう。
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アルバイト商法に関する被害例
Yは先日、友人にA呉服店の主催する呉服展示会のアルバイトをしてみないかと言われました。しかし、アルバイトをする前提として制服として着用するためA呉服店の着物を購入する必要があるとのことでした。Yにとって着物は決して安くはありませんでしたが、A呉服店の担当者の話では『必ず仕事の紹介もするから月5〜6万円の収入は確実だし、すぐに元は取れる。』とのことでしたので、言われたとおりにA呉服店の50万円もする着物をクレジットで購入しました。
しかし、実際には呉服販売の経験もないYがそうそううまく販売などできるわけはなく、A呉服店からの仕事の紹介もほとんどありませんでした。これでは、始めの話と違うので契約を解除したいのですが今さら無理でしょうか?
対処法
これは、典型的な
アルバイト商法
です。この商法は、新聞の求人広告や折込広告などで『アルバイト募集』、『社員募集』などと就職(求人)広告を装って人を集めて、応募してきた人に『仕事で使う』『アルバイト収入ですぐに元は取れる』などと嘘を言って商品などを売りつけるのが特徴です。
特定商取引法では『業務提供誘引販売取引』というものを定め、規制しています。この、業務提供誘引販売取引とは以下の要件を満たすものをいいます。
1
物品の販売または有償で行う役務(サービス)提供の業務であること
2
業務提供利益
が得られるとして誘引すること
3
特定負担
を伴うこと
4
無店舗・個人
であること
今回の場合で考えてみますと、Yは全くの素人ですのでCの要件は満たします。次に、アルバイトの内容はA呉服店の着物の販売ですから@の要件も満たします。そして、Yは仕事をする前提としてA呉服店の着物を購入させられていますのでBも満たします。最後にAですが、Yは担当者からA呉服店が仕事を提供するから収入も確実であるとの説明を受けており、なおかつ今回購入した着物は『仕事の制服』として着用するから必要だったのですからAの要件も満たします。よって、Yは法定契約書面の受領日から
20日以内
であればクーリングオフをすることができます。
もし、クーリングオフができない場合でも、Yは担当者に『月5〜6万円の収入は確実』と言われていますので消費者契約法4条1項2号の
断定的判断の提供
に該当します。さらに、A呉服店の担当者がYに説明した当時、月5〜6万円の収入が見込めないとわかっていたにも関わらず、そのような説明をしたのであれば同法4条1項1号の
不実告知
にも該当しYが嘘の説明に気づいてから
6ヶ月以内
であれば契約を取り消すことができますので速やかに内容証明による解約手続をしましょう。さらに、民法上の
詐欺・錯誤・公序良俗違反
による契約の取消し・無効の主張も可能と思われます。
今回はクレジットで着物の代金を支払っていますが、A呉服店に対する契約の取消しをもって信販会社に対する代金支払義務を拒絶することができますので合わせて通知しておきましょう。
こういった業者と契約する場合には、契約書面などをよく吟味し、仕事の前提として高額の商品を売りつけてくるような業者とは極力契約しないようにしましょう。
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